生命の神秘3

hinakichi
2022年1月16日

 2か月ほど前、不注意から包丁で左手の人差し指と親指をぐっさり切った。人差し指の第一関節あたりに、包丁が骨までゴッとあたった感触があった。血がどくどく流れてきてキッチンは血の惨事。ひやっと血の気のひいた唇が冷たくなった。動揺する気持ちを押さえ、その少し前に大動脈解離を起こした方が、安静にして傷口がふさがるのを待って手術を回避した話を思い出し、大動脈解離が安静にしていて治るのなら、この程度の傷など取るに足らんと考えた。実は10年以上前に、人差し指のほとんど同じ場所を夜中にカッターで切り付けてしまい、救急病院に駆け込んだことがあった。その時と同じ行動をとるなら、タクシーで病院に行って処置をしてもらい、その後2度病院にかかり、痛み止めと抗生物質を一定期間飲む必要があった。時間もお金も随分かけた。

 しかしである。今回はひたすら傷口を押さえて止血し、何故か痛みもほとんどなく(マヒしていたのだろうか)、抗生剤も飲まなかったが化膿することなく傷口は塞がっていった。なあんだ、この程度までなら、病院って行かなくてもいいんだ…!!(可能な限りの)病院&薬離れにいよいよ自信を持ってしまった。

 その後の蛇足。傷口が塞がったのはいいとして、人差し指の患部を押すとまだ痛みがあり、その周辺はぶよぶよと感覚が鈍い。親指の傷は浅く早々に治っていた。今日、親指のある部分がいずく(方言?)ムズムズして、マッサージをしようとしたのだが、そのいずい部分を探し当てられないのだ。あれっと思いあちこち探すのだが、感覚的にその部分が実際に指が存在しているエリアになく、空中にある感覚なのだ。もみたい部分が指の内部にないのである。狐につままれたようだ。ていうか、超ストレス。これって指を切ったことで神経が切断され、感覚機能がズレを起こしてしまったのだろうか。今ムズムズは収まっているのだが、これはかつて感じたことのない奇妙な感覚であった。